いよいよ「戦乱のゼンディカー」発売を明日に控えて、皆様ワクワクしている所だと思います。
新環境のデッキを組んでいる人も多いと思うのですが、そこで発生するのが土地の問題。

「フェッチからバトルランド持ってこれるけど…白緑から赤緑と白青もってこれるから…えっと…」
「基本地形もある程度入れないといけないけど、どれだけ入れればいいんだろ…」
「そもそも赤マナが出るランドは何枚入れればいいんだ…?」

と、悩んでいると思います。
特に今回の環境は「友好色フェッチランド」「友好色バトルランド」を筆頭に
「対抗色ダメージランド」「対抗色ミシュラランド」「タップインゲインランド」に加えて
「無色のボーナスランド」まで多種多様に存在しているため、非常に土地構成が難しい環境と言えます。

そこで、一度自分自身の整理も兼ねて、新環境におけるマナベースの整え方を
ある程度数学的にまとめてみました。

ちなみに、CFBで既に似たような記事があるのでこちらを見ればいいかも…。
(今回の記事は下記の記事と被る部分は多々あると思いますが、翻訳記事でもなければ勝手に考えた内容なので殆ど関係ないです)

Magic Math Mana Bases with Battle Lands
http://www.channelfireball.com/articles/magic-math-mana-bases-with-battle-lands/

------------------------

■基礎となる確率の考え方
マジックのデッキは60枚のカードの束であり、初手が7枚、そこから1ターン経過する度に1枚ドローしていきます。
(マリガンだったり後手ドロー等がありますが、計算が複雑すぎるのでそこは省いて考えます)

デッキ枚数:60枚
ドローした枚数:x
デッキに入っているカードの枚数:y
必要な数:z

と過程すると、「x枚引いた時点で、y枚のカードを少なくともz枚引く確率」が求められます。

※こちらのサイトで簡単に計算できるみたいなのでご紹介。
https://a5046b74819f83d3eca9f681da46309506760fd3.googledrive.com/host/0B7cVVvc_jgenSC04MUhOdGtmM3c/index.html

これによって、例えば以下のようなことが分かります。
「《取り消し》を打つために3T目に青青が必要。そのためにはデッキに17枚の青マナソースを入れると80%の確率で揃う」
→デッキ内に17少なくとも17枚の青マナが出る土地が必要となる。場合によってはもっと。

「シングルシンボルが揃う確率」と「ダブルシンボルが揃う確率」がおそらく頻出になると思うので、
以下のアドレスに早見表を作っておきました。90%以上だと安心、80%以上は欲しい、70%以下は危ないという色付けしてあります。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/192iKObI-L43f7UKgdmtmLKUhiP3xXhe-tnt1vjsLIOk/pubhtml?gid=0&single=true

上記の表があれば、例えば「赤のダブルシンボルを4ターン目までにほぼ確実(90%)に出したい場合」は
ダブシンの表の経過ターン"4"の行を右に見ていき、90%になるマスをたどると19枚の赤マナが必要ということが分かります。

--------------------------

■色マナ数の算出

では、上記の表をもとに、まずデッキに必要な色マナの数を求めましょう。
今回は、知り合いのマルドゥおじさんのデッキレシピを例にしたいと思います。

http://decks.deckedbuilder.com/d/112485

まずデッキで注目すべきは、ダブシンの数。
このデッキは、4マナ域に《雷破の執政》と《衰滅》があるため、赤赤と黒黒を要求されます。
どちらも4ターン目に打ちたいスペルであるため、85%程度と見積もりましょう。
先ほどの表に照らし合わせると、4ターン目にダブシンを85%にする為には、赤と黒それぞれ「17枚」必要な事が分かります。
白マナはサイドボードを合わせてもシングルシンボルしか必要としないですが、
2T目に《魂火の大導師》をプレイしたいので「12枚」が必要であることが分かります。

また、マナは5マナまでは安定して伸ばしたいので、土地は26枚程度と仮定します(こちらの計算は割愛)

----------

■楔3色におけるフェッチランドとバトルランド

さて、本格的に色マナ換算を始める前に、今環境の肝とも言える「友好色フェッチランド+友好色バトルランド」について。
《燻ぶる湿地》等の戦乱のゼンディカーのランド、通称バトルランドは、基本地形をタイプを持っているため、
モダンにおけるギルドランドやレガシーにおけるデュアルランドの様に、フェッチランドからサーチを行う事が可能です。

ただし、楔3色の場合はやや変則的で
一見最も色が合っているように見える「赤黒フェッチランド」からは「赤黒バトルランド」しかもってこれないため、白マナをサーチすることが出来ませんが
例えば「赤緑フェッチランド」からは「赤黒バトルランド」と「緑白バトルランド」をサーチすることにより、白マナをサーチすることが出来ます。
同様に「黒青フェッチランド」からは「赤黒バトルランド」と「青白バトルランド」をサーチすることにより、白マナをサーチすることが出来ます。
さらに「青白フェッチランド」からは「平地」と「青黒バトルランド」がサーチできるため、実質的に白黒2色土地となり
同様に「白緑フェッチランド」からは「平地」と「緑赤バトルランド」がサーチできるため、実質的に白赤2色土地となります。

こんがらがってきましたが、楔3色におけるフェッチランドの役割は
・3色いずれもサーチ可能な「完全フェッチ」が2種類
・2色のみサーチ可能な「不完全フェッチ」が3種類

という状況になっています。

----------

■入れるべき基本地形の数

そんな便利なバトルランドですが、一つだけ条件があります。
それは「基本地形が2枚必要」ということですが、実際これはどれだけ必要なのでしょうか?
厳しく見れば、この計算式は「2T目にダブシンが必要な確率」とほぼ同じと言えるのですが、
その確率を見てみると…何と80%を達成するだけでも19枚もの基本地形が必要であることが分かります。
ただし、2T目までに必ずしも揃える必要はなく、1T目にタップインランドを処理したり、他のアンタップインランドで補助することも可能ですので、多少条件を緩めて3~4ターン目までに2枚と考えると、おおよそ16枚が必要とされる枚数と言えます。これでもかなりキツいですね。

今回の環境では、幸運なことにフェッチランドは基本地形換算も可能なので、
基本地形を4~7枚+フェッチランド9~12枚とすることで、16枚を達成することは可能です。

ただし、フェッチランドの入れすぎはライフロスを招きますし、バトルランドにそこまで拘らなければ無理に増やす必要もないので、そこはプレイヤーの好みが出ると思います。
(自分の場合は、15枚くらいが適当な所かなと考えています。)

-----

■条件は整った、マナ換算を始めよう

では、今まで出た条件を列挙してみましょう
マルドゥおじさんデッキに必要な土地の要素
赤:17
黒:17
白:12
土地総数:26
基本地形:16枚相当

おじさんからの追加要望
ミシュラン:4枚入れたい
無色土地:無くていい


上記の条件を満たす土地を埋めていくことになります。

ちなみに、おじさんのオリジナルレシピに沿った土地計算は以下のとおり
赤:19
黒:19
白:12
基本地形:8枚
色マナは十分な数確保できていますが、基本地形の枚数が圧倒的に足りません。
8枚相当の基本地形を2枚引くためには、3ターン目で34%、6ターン目でも55%ですので、このデッキのバトルランドは実質タップインランドとほぼ変わらないという形となります。(それならまだタップインゲインランドの方が良い)
9枚の確定タップインランドに加えて、バトルランドもほぼ確定タップインだとすると、タップインランドが14枚。アグロなデッキにおいて、このタップインランドの枚数は到底許容できるものではありません。
更に言えば、完全フェッチである青黒フェッチが2枚で、不完全フェッチの赤黒フェッチを3枚積んでいるのも、あまりメリットのある構成とは言い難いです。

ということで、土地構成を改善しちゃいましょう。
やり方は色々あるのですが、オススメの思考停止式土地埋め方式は以下の通りです。

1:思考停止で3色ランドを4枚突っ込む
2:思考停止で基本地形を最低必要枚数突っ込む(平地1、山2、沼2)
3:思考停止で完全フェッチ(赤緑、黒青)を8枚突っ込む
4:思考停止で基本地形カウントが15枚になるように不完全フェッチ(赤黒)を突っ込む(2枚)
5:思考停止で完全フェッチの補助バトルランド(緑白、青白)を各1枚突っ込む
6:思考停止で合致した色のバトルランド(赤黒)を1枚突っ込む
7:思考停止でミシュランを4枚突っ込む

上記の思考停止土地投入により、半自動的に以下のマナベースが出来上がります

土地:26枚
赤:17
白:19
黒:21


これを叩き台に、微調整していくのが楽だと思います。
黒が過剰でフェッチランドも多いので、赤黒フェッチ1枚→山1枚に。
白が過剰なので、3色土地を3枚減らして、赤黒バトルランドを3枚増やしましょう。
それでもまだ白が過剰なのでもう少し少なくしてタップインを減らしたり無色地形を入れたい所ですが、今回はミシュラン4枚がオーダーなので仕方なし。(本来はこのスロットをダメランにしたりして調節します)
好みによってはミシュランの枚数を3枚に減らして《精霊龍の安息地》等を入れてもいいかもしれません。

出来上がったのが、以下のマナベース
1:遊牧民の前哨地
1:平地
2:沼
3:山
4:樹木茂る山麓
4:汚染された三角州
1:血染めのぬかるみ
1:緑白バトルランド
1:青白バトルランド
4:赤黒バトルランド
4:乱脈な気孔

土地:26枚
赤:17
白:16
黒:20
基本地形:15


こうすることで、当初の要件を満たした土地構成が可能となり、タップインの枚数が14枚→5枚に減ってほぼ全ての土地がアンタップインでプレイ可能であり、色事故の確率も少ないマナベースになる…はずです(これだけ語っておいて自信があまりない)

------------------------

という訳で、だらだらと長く書きなぐってしまいましたが、新環境の土地構成の難しさ・面白さ、そしてそれを確率的に組み立てていく面白さが伝われば幸いです。

「フェッチ入れすぎだろ」「確率のとりかた間違ってる」「バトルランドありきで考えるのがそもそも間違いでは?」など、色々なご意見もあるかと思いますので、もし何か他にいい方法があれば教えてください!

それではみなさま、よいパック剥きを。(これだけ頑張って記事書いたから三角州Foilくらい出てほしいな…)

コメント

がらくた
2015年10月2日2:16

とても面白い記事ですね。
ちょうどマナベースの事で悩んでいたので、非常に勉強になりました。
ありがとうございます!!

坪倉
2015年10月2日2:22

ナイス記事です。
こういう記事ちょうど読みたかったのでとても参考になりました。

nophoto
とおりすがり
2015年10月2日2:41

ガバガバ理論だと思います。
例えば2ターン目にフェッチで基本土地を持ってきたとしたら、そのフェッチは1色しか出せてないですよね?
けど、マナベースの枚数としては3色(あるいは2色)で換算している。
矛盾してませんか?
私は、上記のようなフェッチランドの不完全性を考慮して、確率的に必要とされる枚数+2枚ほどの色マナをとるようにしています。(フェッチランドの枚数によってその幅は変わります。)

オリヒカ
2015年10月2日8:01

失礼ながら、トライランド1枚や平地1枚が最適とは思えない(感覚論)ので、
理論か仮定に誤りがあるのと考えられます。

理論は上の指摘に同じく、フェッチランドを「3色出る基本地形」のようにカウントしている点の誤差が大きそうです。

もうひとつ、バトルランドが途中から確定アンタップインかのように扱われています。
しかし実際には、2ターン目に魂火を唱えるには
 1T:白土地→2T:アンタップイン土地
 もしくは2T:平地
と動く必要があり、見た目の白マナ数よりも厳しい条件となります。
更に1Tに白土地(平地以外)を置いた場合、3T目まではバトルランドがタップイン確定するといった問題もあります。


仮定に関しては、2T魂火を重要視しすぎとか、初手土地3枚で3色確定させる方が大事とか、タップインが何枚まで許容できるかの検討がないとか。
こちらは理論的な検討が難しいかもしれませんね。

ワカミ
2015年10月2日9:44

赤黒バトルランド四枚に対して直感的に違和感を感じました。
何故だろうか考えてみた結果、バトルランドの枚数はできる限り少なくした方が良いのではないでしょうか?

1.バトルランドのアンタップインには基本土地が必要(バトルランド自体は自身のアンタップインに関係無い)。
2.アンタップインが可能なのは最速で3t、実際には2t、3tに用いる色マナを捻出するために1tにタップインを処理したいので4t以降と考えた方がよい。
1,2より、バトルランド多めのマナベースを組むと、2〜3ターン目に求める色マナを出せないのではないでしょうか。
例えば初手が山(沼)・赤黒バトルランド・青黒フェッチだった場合、一見基本土地二枚にバトルランドと優れた手札に見えます。
しかし実際にはアンタップインの白マナが無いため、2t魂火の大導師と動くためには最初に青黒フェッチから青白バトルランドをタップインせざるをえず、青黒フェッチランドという本来アンタップインの土地をタップインさせてしまい、更に基本土地が一枚減ったために手札の赤黒バトルランドがタップインしてしまいます。
上の例は少し極端かもしれませんが、何が言いたいかと言うと、初手次第ではフェッチランドがタップインしてしまう潜在的リスクがあり、この記事ではそれが一切考慮されていないのではないか、ということです。

フェッチランドから基本土地を引っ張るためには、既に色の優れた多色土地が場に出ていないといけません。楔三色においてバトルランドは色マナ的に優れているとは言えず、その採用枚数には懐疑的にならざるを得ません。

nophoto
とうりすがり
2015年10月2日10:06

ミシュラン4残りアンタップ,1白,1赤,赤白黒,2赤赤,2黒黒
これらをバトルランドで実現するのは不可能なので、おとなしくペインランド7,8枚でも入れましょう。
もっとまともなデッキならば、よい記事になったかもしれないだけに、残念です。

nophoto
とおりすがり
2015年10月2日14:54

3色タップイン4
白黒ミシュラ4
黒赤フェッチ4
赤白ダメラン4
黒白ダメラン2
黒赤バトル2
沼2
山4

こんなかんじのマナベースでどうでしょう?
黒18赤18白14です。(フェッチの不完全性を考慮しても黒と赤は17です)
タップインとダメランの枚数がヤスさんの希望に即しているかは分からないので、なんとも言えませんが…(少しタップインが多いかもです)

nophoto
とーりすがり
2015年10月2日20:38

興味深い記事で面白く読ませて頂きました。
ただ、個人的には三色デッキでのバトルランドをアンタップインとして扱うのは難しいと思います
フェッチ9+基本6枚でもアンタップインとして出せるのは良くて4t、5tになりそうですし手札に複数枚を引いた場合のテンポロスも心配です。

個人的に楔三色デッキを組むのであればバトルランドは各色最小限の採用にとどめて必要に応じてフェッチから引っ張ってくる構築にすると思います


yasu
2015年10月3日8:54

皆様色々なご意見ありがとうございます。
人によって色々着眼点が違うのだなぁというのが分かりました。
(例えば、自分の場合、3色ランドに対する評価が人よりも低いなど)
一つずつ検証してお返事お返ししたいところですが、文量としてかなり多くなってしまう上、
東京ザナドゥもやらないといけないため(本音) 個別に詳しい返答は割愛させて頂きます、すいません。

皆様の意見を受けた上での続編を書くかもしれません。

nophoto
とぅりすがり
2015年10月4日12:50

このような議論の場になったこと自体に大きな意味があると思いますよ。
遅かれ早かれ大会のデッキリストで定番の土地構成は固まってくるわけですし。

個人的にはアブザンがタシグルの混成マナ支払に白青or黒青バトランをたてたり、タッチ巡航したり、色選択の幅がかなり広がるりそうなので楽しみです。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索