プロツアーレポその2。今回はブロック構築について。
ブロック構築の戦績は4-1と3-2の通算7-3で、なかなかの成績でした。
使ったデッキはオリジナルで考えたゼガーナバント(ゼガーナバント自体は会場分布で2名のみw)
プロツアー参加が決まった時から、ブロック構築のデッキは悩んで悩んで悩みぬいて、
その結果の好成績だった! ので、今回はドヤ顔でオリジナルデッキの記事を書こうとおもいます。
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まずはデッキリスト
下記アドレスに成績優秀者として貼られていたので、引用します。
http://coverage.mtg-jp.com/ptdgm/decklist/020725/
Yasutaka Hibino
プロツアー「ドラゴンの迷路」 / ラヴニカへの回帰・ブロック構築[MO][Hand]
4 《アゾリウスのギルド門》
4 《繁殖池》
4 《神聖なる泉》
4 《寺院の庭》
3 《シミックのギルド門》
2 《森》
2 《平地》
1 《セレズニアのギルド門》
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-土地(24)-
4 《緑側の見張り》
4 《復活の声》
2 《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》
2 《セレズニアの声、トロスターニ》
4 《ヴィトゥ=ガジーの末裔》
2 《首席議長ゼガーナ》
1 《霊異種》
1 《天使の散兵》
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-クリーチャー(20)-
2 《アゾリウスの魔除け》
1 《サイクロンの裂け目》
4 《拘留の宝球》
1 《新緑の安息所》
4 《ワームの到来》
3 《思考を築く者、ジェイス》
1 《スフィンクスの啓示》
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-呪文(16)-
3 《払拭》
4 《ケンタウルスの癒し手》
1 《取り消し》
4 《至高の評決》
1 《正義の勇者ギデオン》
1 《霊異種》
1 《静穏の天使》
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-サイドボード(15)-
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■デッキの作成経緯
1:メタゲームの想定
デッキを考えるにあたって、まず必要なのがメタゲームの想定。
プロック構築については、まず、この環境で考えられるメタデッキは以下のとおり。
・赤単
→その強さ・安定性は前環境で証明済み。ショックランド多色環境が追い風。
・セレズニアビート
→《復活の声》《ワームの到来》という分かりやすい強カードによってアーキタイプ確立
・青白x系コントロール
→いわゆる《スフィンクスの啓示》《思考の建築家、ジェイス》《至高の評決》系デッキ
・白黒x系コントロール
→《罪の収集者》《ヴィズコーパの血男爵》を入れたデッキ
以上4つのアーキタイプが、まず想定される(そして自分でも使おうとしていた)デッキです。
この中でもっとも問題なのが「赤単」で、
その強さは証明済で、一定数存在することは確実で、メタる必要はあるのですが、
一つだけ軸と速度があまりにも違いすぎるため、メインから意識するとデッキが歪んでしまう
かといって、メタらないとメインはほぼ勝てない…という、環境の困ったちゃん。
MO上では安いこともあり、かなりの勢力(体感で3~4割)を占めるこの赤単ですが、
・プロツアーという場では赤単は少ない(プロは中速以上を好む。また赤単が多いのはMOだから)
・サイドからメタれば、メインの相性差も埋めることが可能
という2点から、赤単を切ったメタゲーム(セレズニア、青白x、白黒x)を想定しました。
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2:自分が使うデッキの選定
自分が使うデッキになる訳ですが、まず赤単は自分が使いたくないという理由から無し。
いつもとおりの自分の好みから言えば「青入りのデッキにしたい! カード引きたい!」
しかし、今回想定したメタゲームでは、カウンターを構えるようなデッキでは
「赤単には遅い」「復活の声にメタられてる」「罪の収集者の格好の的」と、
メタゲーム上に存在するあらゆるデッキに対して弱いという事態になってしまっていました。
そのため、基本的には「毎ターンフルタップでカードを叩きつける」系の構成にせざるを得ず、
セレズニアビートダウンが第一候補としてあがっていました。
ただ、セレズニアビートダウンは、同型になった際に決定的なカードが無いのと、
コントロール相手に中盤以降ややKP不足になってしまいがちなのが個人的に気になっていたので、
色を足して同型にもコントロール相手にも強くしよう!(そして、赤単は諦めよう!)
という方向性でデッキを考えるに至りました。
そして、色々考えた末でできたデッキが、冒頭のデッキになります。
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3:デッキの基本戦略
基本的な骨格は、セレズニアビートダウンそのままで、《復活の声》が強いのは勿論
《ワームの到来》or《復活の声》で強力なトークンを用意したあと
《ヴィトゥガジーの末裔》or《セレズニアの声、トロスターニ》or《ヴィトゥガジーのギルド魔道士》で
そのトークンを居住させることによって盤面を支配する、というのが基本戦略です。
純正緑白のセレズニアビートダウンと大きく違う点は2点で
・3色化にともない《緑側の見張り》を投入。これによって2→4(→5)のドブンが可能。
4マナ域は、ジェイス、トロスターニ、ワームと強力カードが目白しで、1T早く出せるのはゲームが決まるレベルで強い。
・《サイクロンの裂け目》の存在。
盤面を並べてからの《サイクロンの裂け目》超過。この動きが本当に強かった。これで何回勝ったことか…。
単純にセレズニア同型では相手だけラスゴみたいなもので、2マナで打っても悪くない。
何より相手がサイクロンを想定せずに動いてくるため、フルタップで展開した返しに勝ち確の場面も多々。
これにより、従来のセレズニアビートダウンに加えて、
また違った角度からのドブンを持った3色デッキとなりました。
なお、《罪の収集者》が入ってくるような相手に対しては
《アゾリウスの魔除け》と《スフィンクスの啓示》(場合によっては《サイクロンの裂け目》)を抜いて
非インスタント・ソーサリースペルを入れて、実質《罪の収集者》を3マナ2/1バニラにする戦略をとっていました。
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4:各カードの説明
基本的な動きはセレズニアビートダウンなので、ちょっと独特なカードの解説を。
・《緑側の見張り》
リミテ脳から入れた1枚。
みんなからは「弱いから抜けば?」と言われたものの、最後まで入れててよかった1枚。
この環境で2→4のジャンプアップが出来るカードは、こいつ(と《ザル・ターのドルイド》)くらいであり
《円環の賢者》は2→4じゃない、《マナの花》はテンポ悪い、とれも一癖あったのですが
ギルド門を投入でき、かつ色マナも豊富に出るこいつは、非常に良い働きをしてくれました。
・《ヴィトゥガジーのギルド魔道士》
すごくつよかった(こなみかん)
2T目に出しても仕事するし、トークンと噛みあうと無双するし、
消耗戦の末に出てきてもつよい。復活の声まで強いまである。神話レア級の働きをしていた。
これもリミテ脳で入れたけどすげーつよかった。
・《ヴィトゥ=ガジーの末裔》
何かしらのトークンが場にあれば無双。無くてもそもそも素のままの状態でも強い。
あらゆるマッチアップで腐らない、神のようなクリーチャーでした。
こいつ次環境でくるんじゃないかなー。
・《新緑の安息所》
《円環の賢者》《マナの花》《彩色の灯籠》《魔鍵シリーズ》《導き石シリーズ》《守護者の木立ち》などなど
競合する他カードを押しのけて入ったこのカード。正直強いのかどうか微妙でした。
まあ、マナ加速してくれたりマナ安定してくれたり、たまに《緑側の見張り》と噛みあったりしましたが
よく当時の僕は競合カードのなかからこいつを選択したなぁ…としみじみ思います。
・《天使の散兵》
団長オススメの1枚。同型および対ビートに対して出せば勝ち級。
残念ながら実戦ではあまり活躍できなかったけど、デッキのなかに入ってるワクワク感はかなりのものでしたw
・《霊異種》
今回青をタッチした理由の1番がこのカードの存在。
中速以降のデッキでは、こいつは文字通り”出せば勝ち”のカードであり、
実質今回は「プロツアー《霊異種》」といっても過言ではなく、会場のあちこちでこいつが無双してました。
実際、こいつで勝てた試合は数知れず。
・《サイクロンの裂け目》
青をタッチするもう一つの理由。既に説明したとおり、警戒されていない状態からのコイツはほんと強い。
同型に対しては単なるバウンスでも強く、ゴルガリに対しても活用したクリーチャーを戻したりで強かった。
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5:簡易試合レポ
■1日目
第4回戦 セレズニアビートダウン ○-○
G1:《ワームの到来》からの《ヴィトゥ=ガジーの末裔》が決まって勝ち
G2:こちらだけ《ヴィトゥ=ガジーの末裔》を連打して勝ち(相手は入っていなかった?)
第5回戦 バントビートダウン ○-○
G1:《緑側の見張り》→《ワームの到来》→《ヴィトゥ=ガジーの末裔》のコンボが決まって勝ち
G2:睨み合っている盤面に《霊異種》が降臨して霊異種ゲーで勝ち。
第6回戦 赤単 ×-×
G1:まさか相手が赤単だとは思わず、初動3T目くらいのヌルキープしたら1T目山と1/1置かれて死亡
G2:ダメージ計算ミスって負け、くやしい
第7回戦 ナヤ ○-○
G1:相手が2ランドストップして勝ち
G2:相手がフルパンしてきて、こちらのライフが残り1に。
そこから《セレズニアの声、トロスターニ》と《復活の声》トークンで巻き返しをはかり、
最終的にライフが30を超えて逆転して勝ち。
第8回戦 エスパー ×-○-○
G1:こちらの動きを裁かれた上、相手に《霊異種》が降臨して不可避8点クロックで負け。
G2:序盤から《復活の声》を軸に、手札に《ワームの到来》を握りしめて
相手の全体除去をケアしながら殴りきって勝利。
G3:相手が序盤モタついた所をガンガン展開していって、マナ加速からの《主席議長ゼガーナ》をプレイ。
カードを補充して全除去に備えたら、そもそも相手が全除去もってなくて勝利。
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■2日目
第12回戦 オロス ○-○
G1:クリーチャーを並べてから《サイクロンの裂け目》超過するだけの簡単な作業(小学生並みのマジック)
G2:クリーチャーを並べてから《サイクロンの裂け目》超過するだけの簡単な作業(小学生並みのマジック再び)
第13回戦 エスパー ×-○-○
G1:お互い《霊異種》を出し合って殴りあう展開に。
相手の方が1T早いところをこちらが《サイクロンの裂け目》で1Tずらす!
…が、相手も《アゾリウスの魔除け》で1Tずらしてきて、結果こちらが先に殴り負ける。
G2:ジェイス、ヴィトゥ=ガジーの末裔、ゼガーナとマスカンを連打していき、
相手の息が切れたところで《霊異種》叩きつけて、後は《霊異種》ゲーして勝ち。
G3:《復活の声》と《ワームの到来》を軸にしたビートダウンで
相手が5マナフルタップで《遠隔/不在》をこちら1マナで《払拭》を2T連続で行なって勝ち。
第14回戦 セレズニア ×-×
G1:相手初動《円環の賢者》から、お互い展開して盤面硬直。
相手の場に《復活の声》エレメンタルトークンとワームトークンと《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》が揃い
されたい放題好き勝手され、こちらはそれに対する対抗策が講じれず、負け。
G2:土地2枚でつまってしゅーりょー。
第15回戦 ゴルガリ○-○
G1:相手《ドライアドの闘士》×2+《縞痕のヴァロルズ》という一見ドブンを、
こちら《ヴィトゥ=ガジーの末裔》が1枚で完全にシャットアウトするイケメン展開。
更に《ヴィトゥ=ガジーの末裔》を続けて展開して、盤面制圧して勝ち。
G2:無造作に《ワームの到来》を盤面に叩きつけたら、相手が回答策を持っておらず、
返しのターンで居住したら雑に勝ち。
第16回戦 セレズニアビート ×-×
G1:あちらだけ《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》をプレイ。こちらは《天使の散兵》をプレイするも
正面衝突した時に《根生まれの防衛》を打たれて壮絶にシャクられて負け。根生まれつええ。
G2:ギルラン2,《復活の声》、《緑側の見張り》《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士》ほか2枚のハンドをキープして
土地引けるかなーと淡い期待を抱いてプレイするも、その後土地引けず、相手に展開されて負け。
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といった感じで、勝てる時はドブンで勝った場合が多かったです。
本来有利なはずの純正緑白に2回も負けてるのはちょっと悔しいですが、
そのほかは、大体のデッキに対して極端な不利はつかない、良いデッキだったと思います!
《主席議長、ゼガーナ》《サイクロンの裂け目》《天使の散兵》など、オリジナルテクも満載で
ドヤ顔で叩きつけたりもできるので、使っていて非常に楽しかったのも大きかったです!
また、メタ想定から赤単を切ったのも結果的に非常によく作用しました。
当たったとはいえ一回戦っただけで、デッキ全体は赤単以外に対して強く作ってあったので。
…MOで使うとすれば、もう少しメインから赤単に対して強い構成にしないと厳しいかもしれません。
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という訳で、オリジナルデッキで駆け抜けたプロツアー!
プロツアーの目的の一つでもあった、「悔いの無い戦いをする」(できれば青絡みのデッキで)
という目標が達成できて、とても嬉しかったです!
本当は、もう少し勝ちたかった…と思うのは、マジックプレイヤーの性でしょうかw
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なお、このデッキの制作には、
・スパーに付き合ってくれたいつものメンツ
・突然電話をかけてきてくれて、プロツアーのデッキ構築についてアツく1時間くらい語ったHanoiさん
・《天使の散兵》というシークレットテクを授けてくれた団長
・メタ考察やブロック構築談義に混ぜて頂いたアソパソマソさん、瀬畑さんたち
などなど、色々な人の協力があってできました。この場を借りて感謝します。
コメント
さんぺいちゃんただのお守り化してたのは残念(´・ω・`)
おつかれさまー!
>団長
相手の根生まれの防衛が強かったでござる・・さんぺいも悪くなかったけど
>東さん
ワームありがとうございました! さすがに確定の4積み枠で、すげー強かったです。